秋田県横手市十文字町をクローズアップ
こんにちは。ユウこばやしです。久々のブログの更新です。先週の12月10日から12月13日にかけて初めての秋田県旅行に行ってきました。
秋田県と言えば、私が生まれた新潟県同様、米どころ酒どころでもあり、全国のお米の生産量並びに日本酒の消費量トップ3に入ります。
(秋田県横手市増田町 日の丸醸造の日本酒)
(秋田県横手市十文字町産あきたこまち)
文化については、新潟は古町芸妓の文化が存在。秋田も同様に平成の初期に一度は途絶えてしまった川反芸妓が近年、あきた舞妓として芸妓文化が復活し、彼女らは「秋田美人」として秋田の観光や文化の魅力を発信し続けています。
(あきた芸術文化施設松下の展示)
(あきた舞妓の踊り)
また両県とも日本海に面し、雪が多く降ることから気候や産業において共通点が多いのも特徴です。そんな初めて訪れた秋田県ですが、県南地方の横手市に足を運んできました。
なぜ、かまくらが有名な横手市なのか?実は私が生まれた新潟県柏崎市と横手市はちょっとした繋がりがあるからです。
まずは、柏崎市議会の中に横手市出身の議員さんが活躍されていること。次に2019年の10月に、横手市十文字町出身のタレント壇蜜さんが柏崎市で開催されたイベント【詩フェスティバル―花火と良寛の地で】にてゲストとして参加されたこと。
(トークショーにてトーク中の壇蜜さん※Twitterより引用)
(表彰式※Twitterより引用)
(市長より柏崎市認証米米山プリンセスを受け取る壇蜜さん※Twitterより引用)
そして、私は壇蜜さんの出身地であり,,サクランボの生産地でかつては白鳥がたくさん飛来した、横手市十文字町にて「十文字和紙の葉書作り体験」に参加してきました。まさかここでも横手市と柏崎市との繋がりがあるとは知らずに。
このイベントを主宰する団体「十文字和紙愛好会」が、何と柏崎市高柳町門出を拠点とする「越後門出和紙」と交流があったのです。柏崎で生まれたにもかかわらず、越後門出和紙に全くノータッチだったことに反省です。
そして、十文字和紙で葉書作り体験が始まる。講師は「十文字和紙愛好会」の代表の泉川祐子さん。
まず十文字和紙についてですが、秋田県伝統和紙として横手市十文字町で200年以上前から続く手漉き和紙で、楮(こうぞ)を原料として全て手作業で作られます。和紙の特徴として、この地域の地下水が澄んでいるためか素朴な美しさとあたたかな風合いに仕上がります。明治時代は和紙をつくる家は50軒あったものの現在は十文字地域睦合地区に住む佐々木清男さん一軒のみになってしまいました。小学校の教諭を退職し十文字和紙の魅力に惹かれた泉川さんは佐々木清男さんに師事して十文字和紙の伝統を絶やすまいと立ち上げたのたが「十文字和紙愛好会」でした。
さて十文字和紙を使った葉書作り体験ですが、主に関わった作業は「紙漉き・水切り」と「乾燥」のみで簀桁(すげた)という道具を使って舟という水槽に入った楮(こうぞ)と糊(のり)が簀桁の中によく絡まるように丁寧に混ぜていきます。
(簀桁)
(舟)
そして、簀桁から取り出した和紙に葉っぱを貼り付けた後、本来であればトタン板に貼り付けて乾燥後その場で完成という流れですが、乾くのにしばらく時間が掛かるためバインダーに挟んで応急処置を施して持ち帰って自宅で乾燥させて完成させました。
体験を終えた感想ですが、根気のいる作業です。しかし、農業と同様、いい物を作ろうとという意識でやったので楽しく取り組めました。葉書作り体験を終えて作業場の2階を見学。こちらは泉川さんのアトリエとなっています。
特に驚いたのは和紙で出来たウェディングドレス。
まるで本物です。しかも普通に着れるそうです。泉川さんのものづくりに対する姿勢と感性の素晴らしさを堪能できました。
さて、ここで十文字和紙以外で十文字地域を今回訪れた範囲内で紹介していきます。
(十文字図書館2階に展示)
猩々(しょうじょう)といいます。元々は狂言に出てくる酒飲みの妖怪。今から200年以上前の十文字地域周辺は十五野と呼ばれる無人の広野であり、冬季の吹雪などで道に迷う人も多かったため、1811年(文化8年)に増田通覚寺の天瑞和尚が道標とするべく猩々碑を刻んだといわれています(Wikipediaより抜粋)。その後、開墾が進み文化14年(1817)に人が住み家が建ちはじめると「増田十文字村」とよばれるようになり十文字地域の歴史が始まりました。この猩々の像が十文字地域の発展の礎となり毎年7月下旬には、それにちなんだ猩々まつりが十文字地域で開催されています(2020年、2021年は新型コロナウィルス感染拡大防止のため中止)。
(十文字図書館2階に展示)
仁井田笠。450年前より十文字地域仁井田に伝わる伝統工芸であり秋田県内で唯一の笠づくりの里となっています。
(2枚共十文字図書館2階皆川嘉左衛門記念室に展示)
横手市十文字町出身で農民彫刻家だった故皆川嘉左衛門氏とその作品。息子で長男の嘉博さんは秋田県立美術大学で教鞭を執る傍ら、また孫の嘉孝さんも同じ彫刻の道に進まれています。
道の駅十文字まめでらがで見つけた十文字松韻窯。利き猪口を1000円で購入。ごく少数ですが、十文字地域で松韻窯を造られている方がいるようです。
道の駅十文字まめでらが。建物の外観の写真はありませんが、秋田県の道の駅で1番の売り上げを出しています。もちろん、地場産(十文字産)のお米、野菜、惣菜、弁当、パン、物産等揃っています。建物内にはセブンイレブンも隣接。
十文字地域を代表するご当地グルメ、元祖十文字中華そばマルタマの十文字ラーメン。麺は細麺でスープは煮干や鰹節などを出汁でとったあっさり醤油。具材には一般的なチャーシューや、メンマ、ネギ以外に麸と蒲鉾が使用されます。使用している水が美味しいのでスープも全て飲み干しました。
(まんさくの花 特別純米酒)
十文字地域は日本酒も美味しいです。1689年創業の日の丸醸造は隣の増田町に酒蔵とアンテナショップを構えますが、営業部の自社ビルは奥羽本線十文字駅のすぐ向かい側に建っています。主力商品は「まんさくの花」シリーズ。銘柄の由来は、昭和55年放送のNHK連続小説の《マンサクの花》からきています。仕込み水は蔵の中にある井戸水。「うまからまんさく」というキャッチフレーズのとおり、旨味のある辛口の仕上りで味の濃い料理との相性がいいです。秋田山内杜氏の酒造りのレベルの高さを感じました。
国内有数の穀倉地帯、横手盆地に属する十文字地域は田んぼも広いです。その田圃では毎年、美味しいあきたこまちが作付されます。2011年以来9年連続特Aランクの実績も。最近では新しいブランド米「サキホコレ」が開発されましたが、あきたこまちもまだまだ頑張ってほしいです。
(横手市産りんごと横手市産桃の果汁を使用したハードサイダーswallow。ラベルのデザインは増田町、細川果樹園の細川博之氏作)
十文字駅から数分歩いた場所にあるホステル&バーCAMOSIBA。こちらは首都圏からUターンした十文字町にある阿部こうじやの娘さん「阿部円香」さんがオーナー。秋田に訪れる人と暮らす人が出会って、いろんな化学反応が起こる場にするというコンセプトを掲げ、お茶屋と隣接した母屋をリノベーションしてゲストハウスと発酵バルとしてオープン。写真を収めるのを忘れましたが、食べ物は主に横手産。そして、羽後町の醸造会社である羽後麦酒株式会社と地元の細川果樹園とコラボしてオリジナル地産地消アルコール飲料であるハードサイダーを販売しています。
ちょい飲みでCAMOSIBAに訪れた私は偶然にも細川果樹園の細川博之代表に出会い意気投合。別れ際に握手を交わし、再会の約束をしました。
ここで述べたもの以外で画像はありませんが、十文字地域は「サクランボ」の代表的な産地で6月にはサクランボ祭りが開催されます。また、伝統芸能も盛んであり秋田県指定無形民俗文化財で300年以上続く仁井田番楽がありDVDも発売されています。
終わりに。今回、縁あって初めて訪れた横手市。特に十文字地域を中心にクローズアップしましたが、この地域で出会った和紙の泉川さん、果樹園の細川さんを始め地域で出会った皆様並びに電話での会話のみですが、十文字町芸術文化協会の土肥さんと触れ合って分かった事は、十文字地域の住民の温かさや情熱の高さを感じました。そして、この情熱の高さがあるからこそ小さい地域ながらも数々の伝統技、工芸、芸術、芸能を維持しつつ主要産業である果樹、野菜、水稲を造り出し地産地消できる環境を保つことで「次世代へ繋ぐ循環型社会」を産み出せるのだと感じました。
特に私が訪れたCAMOSIBAの阿部さんと細川さんはこの地域に今までに無い取り組みをされているので今後の十文字のまちづくりのキーマンとなることでしょう。
そして、柏崎市と縁のある横手市を微力ながら、十文字地域より活性化させるべく、まちづくりに貢献できたらなと思います。ありがとうございました。